相場環境

・金融相場

景気後退局面の最終局面から景気上昇局面に現れる相場です。景気悪化で企業業績は非常に悪い状態で株価も低い水準にあります。政府は、景気を回復させるために金利を引き下げ、景気を刺激します。
株価が非常に低い位置にあることから、この相場が最も投資効率の高い相場です。この頃、景気敏感株といわれる、鉄鋼、機械、輸送用機器などが上昇します。さらに金利引き下げメリットのある不動産株や株価の上昇の恩恵を受ける証券株などが上昇します。

・業績相場

景気上昇局面から山のピークを迎える局面です。この頃は景気拡大の恩恵を受けて、消費活動が活発化し企業業績が好転します。株式相場は活況を呈しており、消費関連や電機株など幅広い銘柄が買われます。出遅れ株物色など循環物色の流れも出始め、割安に放置されている銘柄に投資すると効率が高まります。

・逆金融相場

景気が過熱感を示し金利が上昇局面に入っており、企業業績に影響を与えますが、株価はまだま
だ高値圏でのもみ合いとなり、乱高下を繰り返し始めます。逆金融相場では、企業業績はまだ高水
準にあるため、株を買う意欲が高くなりがちです。

経済指標
(1)四半期別GDP 速報
一定期間内に国内で産み出された付加価値の総額のことをGDP(国内総生産)といい、その四半期(3 ヶ月)、年率成長率を表したものがGDP 成長率と呼ばれます。GDP にはその年の経済活動水準を市場価格で評価した名目GDP と物価変動の影響を除いた実質GDP があり、市場では実質GDP が重要視されます。1 次速報は当該四半期終了後から1 ヶ月半程度後(1、4、7、10 月)の10日前後)に、2 次速報は1 次速報のさらに約1 ヶ月後に内閣府から公表されます。国の経済規模を
図る尺度だけに株式市場に大きな影響を与えます。

(2)日銀短観(企業短期経済観測調査)

日本銀行が四半期ごとに景気の現状と先行きについて資本金2000 万円以上の全国の金融機関を除く民間企業に直接アンケート調査し、4、7、10 月初旬、12 月中旬に公表しています。業績や状況、設備投資の状況、雇用などについて良いとする企業の比率から悪いとする企業の比率を引くという形で示されますが、特に大企業製造業のDI(業況判断)が重要視されます。調査結果から公表までが短いことから速報性があるため、株式市場への影響は大きいものがあります。

(3)機械受注

主要機械メーカー280 社の機械受注の実績を集計し、内閣府経済社会総合研究所が翌々月の10日頃に月次で発表しています。金額が大きく、振れが大きい船舶と電力を除いた民需の動向が重要で、実際の設備投資より6~9 ヶ月先行する指標だといわれています。
エコノミストなどが事前に予想する数値とのブレが大きいため、相場の波乱要因になることがあります。特に設備投資関連銘柄に与える影響は大きいため注意が必要です。

(4)鉱工業生産

鉱業または製造業に属する企業の生産活動状況を示すものとして経済産業省が翌月末に月次で作成しています。鉱工業製品の生産、出荷、在庫の動向を把握することができ、GDP より速報性があることから、有力な指標とされています。ただし、事前予想とのブレは殆どないことが多いため、株式市場に与える短期的なインパクトも限定的になることが多いのです。

(5)消費者物価指数(CPI)
全国の消費者が購入する商品やサービスの物価変動を時系列的に測定するために指数化した指標で、総務省が毎月月次を作成しています。とりわけ、物価変動の大きい生鮮食品を除いた「生鮮食品除く総合指数」が重要視されます。短期的な株価への影響は限定的ですが、同指数が急激に上昇してインフレが進む場合や、マイナスまで下落し、デフレ懸念が高まるようだと要注意です。

株式投資入門講座

●株式投資で使われる重要な用語②